Soliloquy box

松葉が纏まりのない文章を溢すだけの箱

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

Short Sentence6⃣

十字路で迷子になった夜、手を繋いで君と夢の中に紛れ込む。小さな小さな声でハミングして、冷めた空気を暖めた。酩酊したみたいにふらりふらりと白線を踏み外して、僕らの人生をなぞっていく。君が居ればそれでいいよって、この手の温もりだけは嘘じゃなか…

Short Sentence5⃣

何度目かの"自分らしさ"を見失った夜。投げた肢体はシーツの上にちらばって、遠く伸びた指先は霞み、ぼやけていた。雨は止んでしまって、鬱気は更ける闇夜の中へ溶けていく。鈍感になる事だけが得意だった。けれどそれは、鋭敏なことときっと同義で。知って…

Short Sentence4⃣

踵を上げて背伸びをして、それでも空を飛べやしないから、わたし、鳥が好き。先行く腕を引くだけで、君はいつも立ち止まって振り返って、微笑んでくれた。それからどちらかの部屋に転がり込むのがお決まりだった。最初にキスをせがむのはいつだって君で。そ…

Short Sentence3⃣

脳が揺れる。実際は揺れてなんかいないのに揺れている。視界がぶれて滲んでいく。鮮明になんて見えたこと無いのに、世界から切り離されたような気がして、安堵、それから焦燥。僕も君も"ほんとうのこと"なんて何も知らないんだ、だってそんなもの何処にも無…

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