Soliloquy box

松葉が纏まりのない文章を溢すだけの箱

ふたご座の秋

視界の端で、戯れのように彼女の髪が揺らぐ。最近染めたばかりだというその栗色は、どことなく、秋の始まりを知らせているような気がした。 「海へ行かない?」 宵が終わり煌々とした月の光が窓から射し込んで、満面の笑みでそう言った彼女を浮かび上がらせ…

胡蝶の夢

目が覚めたら私は十六歳で、白いシーツが敷かれた病院のベッドで白い布団に包まりながら寝転んでいて、十五センチしか開かない窓から射し込む陽射しを眺めているような気がする。朝を朝だと感じるまでにも時間を要して、それが判るころには起床時間のベルが…

僕は、君の王子さまになりたかったよ。

「私、本当は人魚なの」 彼女は、そう言って鼻で笑った。自分で言ったことなのに、鼻で笑った。僕も僕で、また随分と理解し難いことを言っているなと思ったが、その日彼女は、灼熱のコンクリートをサンダルを持って裸足で歩いていたので、強ちそうでも無いの…

「悪夢を見た、ただ、それだけの話さ。」

こういう形の文章を書くのは随分と久しぶりだと思う。完全な日記に似た文章は。最近は自分の感情の波が荒立っても、こうして長文を書くというよりはちょっとした小説に似た文章の中に落とし込むことが多かった。この場合の荒立つというのは何も怒りというわ…

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