Soliloquy box

松葉が纏まりのない文章を溢すだけの箱

Short Sentence.

 もう届かないことを歓びながら、届いてくれれば、なんて思っている、夜。君は今、何をしているのだろう、星に問うたって教えてはくれないけれど、君も見ている気がして寒いベランダでひとり、ずっと。ここから見た星々は欠片のようにか細いのに、光を越えて行けば煌々と輝いているだなんて、まるでマボロシのようで、僕と君のようだ。

 桜吹雪も、夏の海も、紅葉の川も、冬の夜も、全部全部知っている筈なのに、何もかも失ってしまった。これでもか、と思うくらい愛おしくて、どうしようもなく憎たらしい。それが僕にとっての君で、君にとっての僕だろう。人間が結んだものは、人間が簡単に切ってしまう。あの星座だってきっと同じだよ。君の好きなそれの名前だけ、綺麗サッパリ忘れてしまった。その形すら桜のように散ってしまえば、紅葉のように流れてしまえば、もうわからなくなってしまうね。それでも海のように煌めいて、夜にこうして輝くのだから、想い出なんて本当にくそくらえだ。

アイコン等は此方のサイトからお借りしております→ (http://www.nanos.jp/snb373/)