Soliloquy box

松葉が纏まりのない文章を溢すだけの箱

にんげん

 誰かが「人間とは友達じゃありません」と言ったから一人の人間が傷ついてしまった。「どうやらあの子は人間じゃなかったみたいね、可哀想に」と誰かが自分のお優しさとやらに酔って一人の人間の心が砕けてしまった。人間はかんたんに人間を虐める。そんなこと動物でもするんだからかんたんに解る事なのにね。「だから人間が人間を虐めるのは仕方のないことだよね」ってそうじゃないんだよ馬鹿なのかね君は。人間が何のために知能を持ったのか考え給え。他の種族を見て同じことを繰り返さないように知能を持ったんじゃないのかね。虐めをする動物たちを見てどうして同じことを繰り返すんだ。だから人間は馬鹿なんだ。「先生、此処の人間が人間を虐めています」「わかりました、守衛を呼んで退出させましょう」ああああこうして糾弾することだけが上手になって全くもう。ただ糾弾したって虐めは無くならないんだよ。力のある人間が、声高に叫ばなければならない……え、あれ?私かい?私が虐めたことになっているのかい?そうか、君は声高に叫べる力ある人間だったのか、なら良かったよ。こうして説教を垂れている人間は必ずしも正しいことを言っているとは限らないのでね、時にはそういう人間にも言及してやらねばならない。え?まだ言うのかって?ああ、なあに、これは自分を顧みているのさ、人間は時に自分を戒めて反省せねばならぬときが有るのでね。戒めが出来るのも人間固有の能力だろう。反省点を克服し自らの力に変えてこそ人間は強くなるのだよ。ああそうだった、退出だね、仕方ないなあ。「お前が連れてきた人間、今日も全く変わっていなかったな」「どうやら記憶を無くしてしまうみたいなんだ」「酒を与えすぎなんじゃないか?一合は超えていると聞いたぞ」「どうも酔うと目が据わって、かと思えば悟りを開き、そしてそれを語り始めるのでとても面白いんだ」「なに、それなら今度の観察は深夜に執り行うとするか」「それは愉しそうだ」「では、明後日の深夜一時に落ち合おう」「そうしよう」「ああ、それにしても本当に、」「「「人間は馬鹿で愉快だなあ」」」

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